coinが初めてモーグルを知ったのが、リレハンメルオリンピックの金メダリスト、カナダのジャン・リュック・ブラッサールが出てきた頃だったはず。

coin少年はモーグルを見たとき、単純に「カッコいい」と思いコブを滑れるように色々練習してた。

ジャン・リュック・ブラッサールのターンはとっても滑らかで、俺的にはとっても好き。

Lillehammer 1994 - Jean-Luc Brassard, médaillé d’or
http://www.youtube.com/watch?v=wmuBwitDEmY



1990年代後半、ターンが大きく変わる。

その中心は、現在の日本チームのコーチでありソルトレイクシティオリンピック金メダリスト、ヤンネ・ラハテラを中心にしたフィンランド。

フィンランドチームは、直線的で非常にスピードのあるカービングターンを武器に台風の目になった。このエッジでのターンは現在の上村愛子選手の行っているターンであり、聞いたことがあるかもしれない。1999年の世界選手権では、1位~3位までをフィンランドの選手が独占したこともあった。
ニコ動に、その頃のフィンランドチームの動画をうpしといたので、暇があったら見てみてくださいな。

このカービングターンにより、男子のスピードが上昇する。
ただこのターンは筋力が必要で、女子選手が取り入れることは無かった。

世界最強のフィンランドモーグルテクニック
http://www.nicovideo.jp/watch/sm9461986



2000年代前半、今度はエアが大きく変わる。

大きく変えたきっかけは、長野オリンピックの金メダリスト、アメリカのジョニー・モズレー。

それまでのエアは、足を頭の上に上げてはいけないルールだった。つまり、前宙のような縦回転が禁止されていた。
そんな中、ソルトレイクシティオリンピックでディナー・ロールと言うエアを行う。体が空中で完全に横になる技、つまり足と頭が同じ高さに来る技。

この技をオリンピックで行ったことがきっかけになり、エアの縦回転が解禁される。縦回転が解禁されたことにより、ヘルメット着用が義務化されたりする。

Jonny Moseley (Men’s moguls final at the 2002 Olympics)
http://www.youtube.com/watch?v=K1wADTC5mfc&feature=related



Dale Begg Smith TorinoOlympic 2006
http://www.youtube.com/watch?v=ykG3NGKzQ54&feature=related



で、ここからは上村愛子選手中心の流れ。

元々エアが得意だった愛子選手は、縦回転解禁によりコークスクリューと言う大技を取得しトリノオリンピックに挑む。しかし、ターン技術の差で5位に終わる。

Aiko-Uemura 2006トリノ五輪
http://www.youtube.com/watch?v=dNB5gLvWvY0


ターン技術が必要だと言うことで、ヤンネに指導を受ける。
そして、女子選手では誰もやっていなかったカービングターン取得を目指すことになる。上でも書いたが、カービングターンは筋力が必要で、女子選手は誰もやっていなかった。

身体能力がそれほど高いわけでもなく、20代後半に入り体力も下降線。
それでも愛子選手はカービングターンを取得した。どれほどの努力をしたのか。

女子選手初のカービングターンを取得して望んだ2007-2008シーズンは、まさに愛子選手の独壇場だった。5勝(全10戦)で総合優勝。しかも、6戦目~10戦目までの5連勝だった。2008-2009シーズンも2勝し、世界選手権ではシングル・デュアル両方で金メダルを獲得した。

Aiko Uemura Freestyle MOGULS World Champion 2009 HD
http://www.youtube.com/watch?v=AvDvSFPe2iw&feature=related


ただ、こうなってしまうと、ライバル選手達が黙っているわけが無い。女子のトップ選手達も、カービングターン取得に乗り出した。カービングターンを取得しなければ愛子選手に勝てない、と。今大会のメダリスト達も、愛子選手のターンを何度も見たそうだ。


そして、向かえたバンクーバーオリンピック。
愛子選手は4位に終わった。

確かに愛子選手の調子も、それほどは良くなかったのだろう。
しかし、小柄な上に30才になった愛子選手と、欧米の大柄で20代の選手。カービングターンは筋力が必要な技術。カービングターンがどちらの選手に向いているかなんてのは、考えるまでも無い。


コーチは「技術を披露するのが、一年早かった」と言ったそうだ。
これは結果論だが、確かにオリンピックのメダルを考えるとその通り。

しかし、世界の女子選手の中で初めてカービングターンに挑戦した。取得できずにターンが崩れてしまえば、オリンピックまでに調整し治さなきゃいけない。ある意味、しょうがなかったのかもしれない。



確かに、オリンピックではメダルが取れなかった。

しかし、トリノでコークスクリューを飛び、女子選手の中にカービングターンを持ち込んだ。ワールドカップで総合優勝もし、世界選手権でも金メダルを取った。

愛子選手は、確実に女子モーグルを変えた。
これは、本当に凄いことだと思う。





coin的に、今のトップ選手のモーグルの大会は、実はちょっとつまらなく感じていたりする。

どんどん高速化し、エアの楽しみが減っている。
エアで大技を使うと、ターンやタイムに影響しやすいから。

元々は、観客と一緒に盛り上がる競技なはずだし、エアは観客が盛り上がる一番の要素だと思うし。

まぁモーグルは度々採点基準が変わったりするから、もっと楽しく、今以上にカッコイイ競技に進歩して欲しいなぁ。





トップ選手見るのも楽しいけど、自分でやるのも楽しいので、挑戦してみてくださいな。

コメント

M
2010年2月15日20:41

 この競技も結構ルールで様変わりしてますよね。いろいろ基準となるものが変わると選手も大変だなぁと見てて思いましたね。
 そんな中でも1回目のジャンプで3Dエア飛んだ外人さんはすげえなぁ、と思ったりしました。

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